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「等価に住む K.house in 近見」
2007 九州建築選
西 山 英 夫
「周りを気にせずに、のびのびと暮したい。」
建主は当初、自分たちの理想の暮らしの要望をそんなふうに設計者に申し出ていた。
敷地は、周辺にロードサイド店舗等、市街地のスプロール化によってできた風景が続く国道のバイパス沿いにあり、ここも南側に大型量販店舗、北側に3階建のマンションが
隣接していた。平面計画に当っては、そんな敷地ながら比較的ゆとりのある広さを活かして、駐車場や多くの屋外空間等を取り込んだ平屋のコートハウスを想定した。
そしてこの住宅では、「空間の等価性」ということにあえてこだわっている。
nLDKともオープンなワンルームのプランとも異なるような関係、住まいの中で求心的な主室を配さず、また内外各々の場所がどこに対しても同じような比重を持った生活空間の等価性である。
日常の生活の中で何処かや誰かに従属した諸室の上下関係ではなく、また自分の居場所をあちこちから感じるおもしろさ等、できるだけ精神の自由度の高い生活の時間と場を
期待している。
なお、形態や素材等については、踏襲する建築的文脈の乏しい周辺環境の中で、癖の
ないリニアなデザインを意識し、ローコスト(15万円/㎡)の中でも気品のあるシンプル
なたたずまいをめざしている。
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